幸せな家族に突然訪れた悲しい出来事。
ある日、仲の良い兄妹が買い物に行く途中で交通事故に遭う。兄の英治は一命を取り留めたが、妹の絵里奈は天国へ行ってしまう。

絵里奈の死を受け入れられない両親の雅仁と慶子。
病院から退院した英治は、絵里奈がいなくなり、灯りが消えてしまったように暗く沈んだ家の中で、悲嘆に暮れる両親を励まそうとわざと明るく振舞うが、父の雅仁は絵里奈の名前を口にすることもなく落ち込み、お腹の中に新しい命が宿っている母・慶子も食べ物を口にすることさえできないでいた。

やがて、健気な英治の姿を見て、慶子は前を向いて生きていかなければならないと思い立つのだが、雅仁はそんな慶子の態度にさえも不信感を抱いてしまう。口論の末、家を飛び出してしまった慶子。英治の心は張り詰め、翌日は学校には行かず、幸せだった頃の家族の思い出の場所を訪れる。そして、英治がいなくなったことを知った雅仁は英治の部屋の中で何通もの手紙を見つける。その手紙は英治が絵里奈に宛てたものだった。
果たして英治は無事に家に戻ることができるのだろうか？

両親を励まそうと必死で明るく振舞っていた英治が、交通事故に遭い、生死の境をさまよっているとき目にしたものは？　そして耳にした声はだれのどんな言葉だったのか？
純粋でひたむきな子どもの心の葛藤が様々な場面で描かれていて、観る人の胸をいっぱいにする。

人はだれでもいつかこの世を去るときがくる。残された者は、大切な人の死を簡単に受け入れられるものではない。それでも、生きていかなければならないのだ。

生きていくこととは何なのか？　
愛する人がこの世からいなくなることは、永遠の別れなのだろうか？

愛と勇気と希望を伝えてくれるハートフルな作品。

愛がいっぱいの家族のイメージにぴったりの中山うりが歌う挿入歌「夏祭り鮮やかに」や、平井堅が歌う主題歌「いつか離れる日が来ても」の美しい旋律が、より一層この作品を感動的なものに演出してくれる。　


text by...  dariyo

2008/04/21