黒澤明の傑作時代劇21世紀に甦る！

　ある藩の狡猾な役人たちを9人の若侍たちと共に懲らしめる椿三十郎（織田裕二）の、胸のすくような活躍を描いた痛快時代劇。勧善懲悪で単純明快、無駄のないスピーディーなストーリー展開は、黒澤明の真骨頂！　今回のリメイクでは黒澤シナリオを一字一句違わず採用。

　森田監督は、黒澤脚本の行間に全ての思いを託し、丹念、かつ大胆に人物や情景を紡ぐ。ユーモアとペーソスをふんだんに盛り込み、椿屋敷のシーンでは目も眩むようなカラフルな〝椿〟たちが画面を舞い、そのスケール感は圧巻！

　活劇も黒澤に負けず劣らず豪快。冒頭の立ち回りや、伝説の21人斬りシーンも見事！

　そして今なお語り継がれる驚愕のラスト。宿敵、室戸半兵衛（豊川悦司）との壮絶なる闘い。「これからの二人の決斗は、とても筆では書けない」黒澤シナリオの原文だ。

　思わず息をのむ数分間。瞼も100万分の1秒だって瞬けない！このシーンを森田監督がどう描いたのか……。それは劇場で確認しよう！


　〝椿三十郎〟はただの娯楽時代劇ではない。〝超〟娯楽時代劇だ！
text by...  茶柱達蔵

2007/11/30