イギリスの名門サッカーチーム、ニューカッスル・ユナイテッドで連日スーパープレイを発揮し、サッカーファンを沸かせているサンティ。苦しい下積み時代を支えてくれたロズとも婚約し、公私共に充実した日々を送っていた。

しかしサッカー界は彼の才能を放ってはおかなかった。時は折しもヨーロッパでもっとも強いサッカーチームを決める大会「チャンピオンズ・リーグ」が始まろうかという頃。サンティに舞い込んだ一本の電話。それは、世界最強と呼ばれるスペインのサッカーチーム、レアル・マドリードからの移籍の誘いだった…

今回の主役は、“プロ・サッカー選手の華麗なる世界”

全3部作の第1作であった前作では、サッカー選手を夢見る少年サンティの成長物語だった。幾多の困難を乗り越えて夢を実現させていく姿に自分を重ね、涙した大人は多かった。しかし第2作目の本作では少々趣向を変えて、世界最高峰のプロ・サッカーの世界自体が見どころ。

サッカーファンならずとも世界中が知っているデヴィッド・ベッカムや、昨年ワールドカップ決勝戦で衝撃的な退場をしたジダンなど有名選手本人がたびたび登場。また、普段は決して見ることのできない、試合前のロッカールームの風景（レアル・マドリードで撮影が許されたのは歴史上初めて。しかも許可された撮影時間はたったの40分間だったそう）や、選手が滞在する超豪華ホテルのようすなど、いわゆる“裏側”をのぞき見ることのできる貴重な映像が盛りだくさん。高級スポーツカーに、高級ブランドのスーツ、豪邸で夜な夜な繰り広げられるパーティー…頂点を極めたスポーツ選手でありながら同時にセレブとしてもてはやされ、パパラッチに追いかけられる姿がリアル。

もちろん肝心の試合シーンにも、この作品でしか見られない映像が満載。通常の中継ではぜったいに許可が下りない「チャンピオンズ・リーグ」戦でのピッチ上の撮影もUEFA（欧州サッカー連盟）全面バックアップのもと敢行され、選手（本物）らの表情をアップで楽しむことができる。公式戦で俳優と本物のサッカー選手が一緒にプレイしている、有り得ないはずの映像は、じっさいの公式戦を6試合、7台ものカメラで撮影した膨大な映像をもとに作られている。

ちなみに本作は、2006年の「チャンピオンズ・リーグ」が舞台となっているが、2007年の本物の「チャンピオンズ・リーグ」決勝戦は5月23日水曜日（現地時間）。サッカーファンの間では、ワールドカップよりも注目度が高いというこの大会、決勝カードはイタリアのACミラン対イギリス・イングランドのリバプールFC。試合会場は、スペインの建築家が設計を担当したギリシアのアテネ・オリンピック・スタジアム。“音楽は国境を越える”、よく言われることであるが、サッカーもまた、”国境を越える”のである。これまでサッカーに興味がなかった人も、この「GOAL！」シリーズを見れば、その理由が何となく分かる、かもしれない。
text by...  こうだ真紀

2007/05/30